大槻真嗣 准教授 令和7年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰
MMXプロジェクトチームの大槻真嗣が、「令和7年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(科学技術振興部門)」を受賞いたしました。受賞の業績名は「低重力環境下での粉粒体挙動観測による国際宇宙探査への貢献」です。

大槻真嗣は,様々な天体の重力環境をISSで再現し星の砂を降らせる実験「Hourglassミッション」の主任研究員(PI)です。共同受賞したMMXプロジェクトシステム研究員ならびにJAXA職員は以下の方々です。
- 尾崎信吾 横浜国立大学大学院工学研究院システムの創生部門 教授
- 石上玄也 慶應義塾大学理工学部機械工学科 教授
- 前田孝雄 東京農工大学大学院工学研究院先端機械システム部門 准教授
- 須藤真琢 宇宙航空研究開発機構有人宇宙技術部門主任研究開発員
低重力環境下での粉粒体挙動観測を行ったHourglassミッションは、宇宙科学研究所MMXプロジェクトのメンバと大学共同利用システム研究員を中心に有人宇宙技術部門との連携により2018年に開始されました。国際宇宙ステーション(ISS)にある日本の実験モジュール「きぼう」内の人工重力発生装置(CBEF)に粉粒体(地上自然砂や模擬レゴリス)が入った砂時計を持ち込み、約60時間弱の観測を行うことができました。粉粒体の例として、小惑星や月などの天体表層を覆うレゴリスが挙げられます。レゴリスが着陸時にどのような影響を与えるか予測することは、火星衛星探査計画(MMX)の探査機の機器開発に必要です。天体表層では、探査機が転倒や埋没することなく着陸し,また,飛散したレゴリスでミッション漸減することなく、離陸まで安全に導かなければなりません。IDEFIXのように表面を走行しなければならないローバについても同様のことが言え、低重力におけるレゴリスとの相互作用の理解が不可欠です。
そして,観測データの解析により自然重力と軌道上人工重力の違いを明らかにし、粉粒体の流動特性の重力依存性、粉粒体の付着力の発現を確認しました。これらから、地上より低い人工重力環境下にある粉粒体のふるまいの答え合わせが可能なデータセットを取得しただけでなく、MMXの着陸装置のレゴリス飛散解析や着陸ダイナミクス解析の基礎検討へ貢献しました。また、ISSを皮切りとした民間主導による地球低軌道の「探査」における価値を見出すことができました。
受賞のコメント
このたびは栄誉ある賞を賜り大変光栄に存じます.本受賞の柱となるHourglassミッションはMMXプロマネの「もうそろそろ外挿じゃないので求められないの?」との言葉に始まりました.地上試験でなんとかして小惑星への着陸時の地盤状態を作って解析パラメタを得ようと試行錯誤し,第一段階として砂粒子に加わる力を定量化しようと行なわれました.結果として,複数の重力環境での砂粒子の挙動の違いから付着力の推定ができ,妥当性のある解析ができるようになりました.最後になりましたが,宇宙科学研究所ならびに有人宇宙技術部門の多くの関係者の皆様ならびに私達と共に当活動を支えてくださった関連企業の皆様に深く感謝申し上げます.
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