MMX搭載ミッション機器「MIRS」の開発完了
2024年4月5日、火星衛星探査機MMXに搭載する「MIRS(近赤外分光計)」は、開発を担当したフランス国立宇宙研究センター(CNES)から、JAXAへと引き渡しが執り行われました。

「MIRS」は、MMXの探査機に搭載される13の搭載機器のうち、火星衛星の全球表層の近赤外分光観測を行い、鉱物・分子種(特に含水鉱物や有機物)の分布図を作成するための機器です。波長2.7〜3.2μmの水酸化物や水和鉱物による吸収スペクトルや、波長3.3〜3.5μmの有機物による吸収スペクトルを分析することによって、火星衛星が始原天体物質で構成されているか、火星に似た分化した物質で構成されているかを判別して、火星衛星の起源を明らかにします。MIRSはさらに、火星大気を長期間・短い時間分解能でモニタ観測することにより、雲、塵、水蒸気などの空間的および時間的変化を明らかにします。


左:MIRS FM 輸送後機能確認において、ダストカバー展開を確認しているところ。右:MIRS Teamの集合写真 前列左から3番目から右に、Michel Le Du さん、Maria Antonietta Barucciさん、川勝プロジェクトマネージャー。台の上、左がMIRSのEBOX, 右がOBOX。
MIRSは、2020年4月からCNESやパリ天文台で構成される開発チームで基本設計を開始しました。設計審査やエンジニアリングモデル(EM)製造や各種開発試験を経て、2024年2月までに、フライトモデル(FM)の開発完了を確認する認定試験後審査兼出荷前審査(QPSR)と合流前確認会を通過しました。その後、2024年4月に、探査機システムメーカ(三菱電機株式会社)鎌倉製作所に輸送され、輸送後機能確認の後に、正式に引渡されました。
その後、探査機の探査モジュールに組付けられて、探査機システム総合試験に供されています。

MIRSの取り付け部は、From-Z の画像上を参照。
MIRS主任研究者(PI) マリア・アントネッラ・ペルッチ
パリ天文台/PSL
MIRSはフランスで開発されたイメージングスペクトロメータで、JAXA/MELCOへの引渡しが成功したことを大変嬉しく思っています。MIRSチームがMMXミッションに参加できることは光栄であり、興奮しています。私たちは、MIRSがMMX探査機本体への取り付けが成功し、打ち上げまでの次の段階に進むことを期待しています。この偉大なミッションの成功と極めてすばらしい科学的成果を期待しています。
MMXプロジェクトマネージャ 川勝康弘
JAXA
MIRSの開発が無事に完了し、JAXAに引き渡されたことを非常に誇りに思います。この瞬間を迎えるまでには、多くの挑戦がありました。開発の初期に直面した開発体制の議論では、科学的要件を再評価し、より適した機器を選択するための難しい決断をしました。その後、フランスのCNESやパリ天文台をはじめとするパートナーと協力し、開発チーム全員が一丸となって取り組んだ結果、MIRSは高い性能と信頼性を実現しました。
昨年の夏、完成したMIRSを初めて目にした瞬間は感慨深いものでした。火星衛星の起源解明という壮大な目標の一翼を担う機器をあずかる責任と喜びが交錯しました。これからMMX探査機と共に宇宙でのミッションを迎える日を楽しみにしています。
MIRSチームJAXA側責任者(POC)岩田隆浩
JAXA
MIRSのフランスでの開発が始まったのが2020年4月、即ちコロナ禍の真っただ中でお互いの往来もできず、毎週のオンライン会議だけがお互いの意思疎通でした。2022年5月から、ようやくお互いの直接交流が可能になり、2023年12月にパリ天文台にてMIRSフライト品に対面した時には、感慨深いものがありました。火星衛星にて水や有機物の様子を明らかにすることを目指して、システム試験ではもうひと頑張りです。
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