MMX搭載ミッション機器「P-SMP」フライトモデルの開発完了

「P-SMP(ニューマティック採取機構)」は、火星衛星探査計画(MMX)の探査機に搭載される13の搭載機器のうち、火星衛星の表層のレゴリスをガスの噴射により採取する機器です。これは、万が一、C-SMPでの採取が困難な硬い地質の場合に備えるとともに、表面のサンプルのみ採取することによって、C-SMPで採取されたサンプルから最表層のサンプルを識別するための助けとなります。

左:P-SMP FM (Flight model)。引渡作業中のP-SMP(窒素パージ中)、上側にコンタミモニタクーポンを設置。右:P-SMP 引渡時の集合写真。左から澤田弘崇、永峰健太、佐藤泰貴 (以上JAXA)、Lam Justin Sherman、松山優香(以上、Honeybee Robotics)、圓道新吾、寺本英央、岸上達也、荒井美幸 (以上、MELCO)

P-SMPは、NASAの火星探査ミッションでの開発経験がある米国のHoneybee Robotics社と共に、2016年頃から搭載可能性について検討を開始しました。各種開発試験を経て、2022年10月までに、フライトモデル(FM)の開発完了を確認する認定試験後審査(PQR)及び出荷前審査(PSR)を通過しました。その後、探査機システムメーカ(三菱電機株式会社)鎌倉製作所に輸送され、2024年10月に、輸送後機能確認の後に、正式に引渡されました。

その後は、探査機の探査モジュールの着陸脚の一つに組付けられて、探査機システム総合試験に供されることになります。

図 :MMX搭載機器コンフィギューレーション図
P-SMPの取り付け部は、From-Z の画像上を参照。

P-SMPの開発企業担当者 Kris Zacny
VP of Exploration Systems, Honeybee Robotics, a Blue Origin Company

MMXのP-SMPの開発は、最もやりがいのある経験のひとつです。私たちは、NASA、JAXA、MELCOの友人や仲間と緊密に協力し、P-SMPを開発し、探査機に搭載しました。私たちは山ほどの困難を乗り越えなければなりませんでした。言葉の壁、時差、大きな距離(私たちは大きな海の両岸にいる)、世界的なパンデミックなどなど。しかし、私たちがこれらの困難を乗り越えることができたのは、宇宙探査への情熱という共通点があったからです。そしてこの情熱は、他のどんな困難よりも強いものです! P-SMPは、20年以上前、私の大学院時代に発明されました。この技術をフォボスまで飛ばせるまでに成熟させるのに、NASA、惑星学会、JAXAなど多くの機関の協力と多くの人々を必要としました。私は、私たちをここまで、そして間もなくフォボスまで導いてくれたすべての人に永遠に感謝します。MMXミッションの一員になれたことは夢のようであり、とても幸運だったと思います。

NASA 担当者 Charles E. Webb 様
Acting Director of the Planetary Science Division

JAXAとの協力の一環として、NASAがこの重要な機器の納品に成功したことに興奮しています。Honeybee Robotics社の斬新な技術によって、火星の衛星フォボスから始原的なレゴリスを入手することが可能になり、火星の衛星の起源を語る一助となります。

MMXプロジェクト P-SMP担当 佐藤泰貴

まず、P-SMPの引き渡しまで漕ぎつけたこと、これまで関わってきた皆様に大変感謝申し上げます。P-SMPは探査機の脚に取り付けられるとともに、採取したレゴリスが入ったキャニスタをC-SMPのマニピュレータで把持・回収してもらうため、日本側機器の皆様にも大変ご協力いただきました。Phobos表面で確実にサンプル採取できるよう、引き続き取り組んでいきたく思います。