MMX搭載ミッション機器「SHV」フライトモデルの開発完了

「SHV(超高精細カメラ)」は、火星衛星探査計画(MMX)の探査機に搭載される13の搭載機器のうちの一つで、探査技術獲得を目的としています。4Kおよび8Kに対応した2台の超高精細のカメラにより、火星衛星フォボスや火星圏の撮影を行います。放送コンテンツ用途として、火星や火星衛星をダイナミックに撮影するほか、宇宙探査の運用性向上や放送を通じたプロジェクトの認知向上に貢献することを目標としています。徐々に近づく火星や最接近の火星撮影、衛星フォボスの地表撮影などの超高精細映像の取得を行います。

日本放送協会(NHK)では、2018年にMMX探査機への搭載に向けたカメラの基本設計に着手し、2020年9月に正式にMMXへの参加を表明しました(※)。その後、開発メーカの協力のもと、試験用モデルの試作や詳細設計を進め、プロトフライトモデル(PFM)の製造および単体環境試験を経て、2024年1月に認定試験後審査(PQR)及び出荷前審査(PSR)を通過し、開発を完了しました。その後、2024年2月に探査機システムメーカ(三菱電機株式会社 鎌倉製作所)に輸送し、正式に引渡しを完了しました。

今後は、探査機復路モジュールに組付けられて、探査機システム総合試験に供されることになります。

図 :MMX搭載機器コンフィギューレーション図
SHVの取り付け部は、From-Z とFrom-X の画像上を参照。

SHVの開発責任者(PI)
NHK技術局 船津良平様のコメント

開発過程では多くの困難な課題に直面しましたが、SHVチームのメンバーの努力とJAXA様ならびに各メーカ様のご協力のおかげで無事カメラ開発を完了することができました。引き続き、探査機システム総合試験に向けて、気を引き締めて対応したいと思います。

SHVの開発企業担当者
明星電気株式会社  田中宏幸様のコメント

カメラ視野確保のために探査機に搭載可能な機器構成への修正、機械的負荷を軽減させるための機械・構造対策、カメラの温度範囲を逸脱させないための外装設計、高画質画像を伝送するための電気・電磁的設計等の技術的課題やスケジュール確保のための開発方式の変更等の課題もありましたが、無事に引渡しが完了し安堵しています。

注釈:

・PFM:プロトフライトモデル
・PQR:認定試験後審査(Post Qualification Test Review)
・PSR:出荷前審査(Pre-Shipment Review)


関連リンク:

(※) 火星衛星探査機(MMX)に8Kカメラを搭載 スーパーハイビジョンで火星を撮影

NHKプレスリリース: 火星衛星探査計画(MMX)の探査機に搭載する スーパーハイビジョンカメラが完成