MMX搭載ミッション機器「LIDAR」フライトモデルの開発完了

「LIDAR(レーザ高度計)」は、火星衛星探査計画(MMX)の探査機に搭載される13の搭載機器のひとつです。探査機と火星衛星フォボス表面との距離(高度)を継続的に測定することで探査機軌道の予測精度を向上させたり、フォボス全球の地形情報を取得することで形状モデルの基礎情報を提供したり、表面地形の起源に迫ります。探査機軌道の予測値と実測値の比較からはフォボスの重力場が求まることが期待されます。

LIDARは、2019年3月から開発メーカ(日本電気株式会社)で基本設計を開始しました。設計審査やエンジニアリングモデル(EM)製造や各種開発試験を経て、2024年1月までに、フライトモデル(FM)の開発完了を確認する認定試験後審査(PQR)及び出荷前審査(PSR)を通過しました。その後、2024年2月に、探査機システムメーカ(三菱電機株式会社)鎌倉製作所に輸送され、外観検査の後に、正式に引渡されました。

今後は、探査機の探査モジュールに組付けられて、探査機システム総合試験に供されることになります。


図 :MMX搭載機器コンフィギューレーション図
LIDARの取り付け部は、図のFrom-Zの画像上を参照。

LIDARの開発責任者(PI)
千葉工業大学惑星探査研究センター  主席研究員 千秋博紀先生のコメント

チームメンバ、担当メーカ、その他多くの方々の協力のもと、LIDARフライトモデルの納品に至りました。良い装置ができたので、これを科学成果につなげてゆくのが我々サイエンスチームの責任です。探査機の運動やフォボス表面の様子から歴史を紐解いてゆくのが今から楽しみです。

LIDARの開発企業担当者
日本電気株式会社 エアロスペース事業部門 センシングプロダクト統括部 光波システムグループ  生瀬裕之様のコメント

LIDARキーコンポーネントのレーザ発振器の性能だしに苦労した部分や新規開発した集積回路(チップ名称:LIDARX)の特性評価等大変だった開発要素はあるものの、無事LIDAR-FMを納入できたことに安堵しています。