フロントローディングの取り組み その1

MMXでは,フロントローディングと言われる取り組みを行なっています.

フロントローディングとは

新規プロジェクトの初期段階で,ミッションの不確定性と開発全体のリスクを低減することを目的として,新規性の高い,つまりリスクのあるミッション系機器などキーとなる重要技術について先行的に研究開発や実証を行うことです.

フロントローディング(宇宙科学・探査小委員会資料より抜粋)

このようにミッション検討初期段階でリソースを充てることによって,開発期間全体で見たときに総リソース量を減らすことが期待できるのです.

 

このブログでは,フロントローディングで特に力を入れている項目について数回の投稿に分けてご紹介します.(Twitterでも投稿しているのでチェックしてみてください)

 

 

 

  • 着陸誘導機器の開発; ★JAXA装置・植松でのデータ取得試験

MMXでは,地球の1/2000しかない火星衛星の重力を模擬するため,落下塔を利用した微小重力環境での着陸試験を行なっています.

高い落下塔から自由落下させることで,重力の影響を小さくし,地球上とは異なる砂やタンク中の燃料の挙動の数値シミュレーションとの比較や,探査機がひっくりかえらないための基礎実験を行いました.

左:コスモトーレの落下塔 右;実験装置

 

 

  • 探査機システム成立性検討

探査機システム成立性検討では,推進系の軽量化検討や着陸誘導制御能力の詳細検討,着陸脚・太陽電池パドル設計の検討などを行なっています.

推薬量は探査機質量に大きく影響するため,往路モジュールの推進薬は完全に空になるまで使い切った状態で捨てて,余裕分は全て帰還モジュールに搭載するように推進薬タンクの大きさ配分を工夫しました.

MMX探査機の火星周回軌道への投入のイメージ

 

着陸に関するシミュレーションを何百回も繰り返し行なった結果,重力が小さく押さえが効かない火星衛星の表面では転倒しないために広い間隔の脚が必要なことが分かったため,新しい探査機モデルでは着陸脚が太く逞しくなっています.

また,誘導制御能力も詳細検討や着陸シミュレーションを繰り返した結果,これまで必要と考えていた安全に着陸するために必要な面積が大幅に縮小できることが分かってきています.

往路モジュール分離後の探査機の着陸イメージ

 

太陽電池パドルも着陸のシミュレーションによって横に長い形では傾いて着地した際に地面と接触してしまうことが分かったため,新しいモデルでは横方向に短い,「はやぶさ」に似た形になりました.

探査機モデル案(2019年6月時点)

 

このようにフロントローディングの取り組みによって,ミッション成立性に関する検討が進められています.

次回は,サンプラーやカプセルについてもご紹介しますので,楽しみにしていてください!