はやぶさ2・マスコットからMMXローヴァーへ

宇宙科学研究所 太陽系科学研究系 藤本正樹

 

International Astronautical Congress (IAC)という宇宙航空分野での大きな学会(産業界も参加)が10月1日~5日にドイツ・ブレーメンにて開催されました。

開催週の半ばでドイツ航空宇宙センター(DLR)・フランス国立宇宙研究センター(CNES)がHayabusa2に搭載した小型着陸機MASCOTの着陸運用があったこと、そして、それが大成功だったことがあり、Hayabusa2は注目を集めていました。

DLRのお膝元にも関わらず、MASCOTだけに言及されるのではなく、Hayabusa2に必ず言及がされていたことを明快にしておきたいと思います。実際、Hayabusa2チームがMASCOT運用に対してオープンな態度で対応したこと、例えば、MASCOTを放出した後に、すぐに高度20kmのホームポジションに戻らず、少なくない燃料を投入しつつ高度2.5kmでホヴァリングしてデータ中継を行ったことへの感謝がされました。

From left: Tra-Mi Ho (DLR MASCOT Project manager), MF

From left: Stephan Ulamec (DLR), Patrick Michel (フランス国立科学研究センター :CNRS), MF

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Hayabusa2/MASCOT は、日独仏という、組織サイズが同程度で(つまり、NASA、ESAよりも小ぶりで)、「何か、やらかしてやろう」と考えている宇宙機関が共同することから生み出される価値の高さ、そこにMINERVAの成功も加えて考えれば、新天地の探査においては大型機に小型機を搭載して現場に連れて行き、偵察的な仕事をさせることでのミッション貢献の高さといったことを、実経験として理解させてくれました。

この意味では当然の流れとしての、Hayabusa2/MASCOT → MMX rover があるのではないでしょうか。まさにその通りで、仏独が共同しMMXに搭載される小型ロ―ヴァーを開発提供することがJAXAも含めて合意され、その三者合意に関する記者発表もIAC期間中に行われました。また、Hayabusa2/MASCOTは、IAC最終日の Late Breaking News という報道関係者への発信も意識したイヴェント(藤本も登壇)で扱われたのですが、そこでもHayabusa2/MASCOT → MMX rover という流れが紹介され、かつ、そのニュアンスでの報道が宇宙関連で主要な欧米メディアでもなされました。

IACの記者会見場で展示されたMASCOTモデル(手前)、MMX rover モデル(奥)。Hayabusa2のミニチュアも見える。

DLRにはロボティクスを研究する部門があり、そこがIAC会場においてデモブースを出展していました。この部門はMMX rover のロコモーションを担当することになったのですが、その研究所長とも、川勝リーダーも交えて、懇談することができました。「火星衛星での移動は、その重力場を考えれば、ホップなのかローヴなのか、どっちなのだろうか、といった感じであり、そうであれば、より先進的なロ―ヴァ―だという結論になった。MMX rover は簡単な話ではないが、このようなチャレンジは大歓迎である。」とのこと。

From left, Alin Olimpiu Albu-Schaeffer (Director, DLR Inst of Robotic and Mechanics), MF, Thorsten Nix (DLR).

 

Hayabusa2はJAXAの小天体探査プログラムの一要素として実施しています。その後にもプログラムは続き、MMXは、そのひとつです。「太陽系の外側(スノーラインの外側)で生まれた小天体」が太陽系の形成(われわれの地球を生命居住可能にしたこと)において果たしたであろう役割をご理解していただいた上で、兄弟ミッションとあわせてMMXの価値もご理解いただければと思います。

 

小天体探査戦略